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羽生、2連覇してもなおさらなる高みへ「もうちょっと滑ると思う」 平昌五輪

 平昌五輪第9日(17日、江陵アイスアリーナ)ショートプログラム(SP)首位の羽生結弦(23)=ANA=がフリーで2位の206・17点をマークし、合計317・85点で66年ぶりの2連覇を飾った。

 ドンと響いた太鼓の音とともに、両手を広げてフィニッシュ。リンクの真ん中で大歓声に包まれながら、右手の人さし指を突き出した。66年ぶりとなる2連覇を達成した羽生結弦は、昨秋に見舞われた右足首負傷を乗り越え、自力で金メダルをつかみ取った。涙をこらえられなかった。

 「自分の人生史上、一番幸せな瞬間だった」。金メダルを首から提げると、感慨に浸った。

 前回のソチ五輪を19歳で制した。金メダルを決めたフリーのジャンプで2度も失敗した。悔しさを胸に秘め、五輪の舞台で雪辱を期して練習を重ねてきた。

 進化へのキーワードは4回転ジャンプだった。2015年、トーループとサルコーの2種類を武器にSPとフリー、合計の世界歴代最高得点を2度ずつ更新。上積みは難しくなった。

 すると3種類目の4回転ループへ挑戦した。当初、ブライアン・オーサー・コーチは消極的だった。同じリンクで練習し、今大会で銅メダルだったハビエル・フェルナンデスも「新しい4回転に時間を割くなら、スケーティングを高めたり他の要素を改善したい」と、持っている2種類の4回転でいい、という考え方だった。

 羽生は1年に1つずつ跳べる4回転のベースを作っていく戦略を描いていた。世界のトップであぐらをかくことなく限界の先を目指した。4回転ループをものにした昨季は、3年ぶりにフェルナンデスから世界王者を奪取した。「自分もやっておけばよかった」とはフェルナンデスの自戒だ。

 今季は4種類目の4回転ルッツを投入。若手が多種類の4回転を跳ぶ時代になっても、早めの対策が奏功し、羽生の存在感は色あせなかった。オーサー氏も羽生に歩み寄った。

 16日のSPで首位スタートした羽生は、フリーで今回はオーサー氏の戦略に乗った。負傷した右足で踏み切って着氷する4回転ループをSPに続き外した。ミスの危険性を回避した構成で、表現力などを示す5項目の演技構成点も9点台後半を並べ「トータルパッケージ」での強さも見せた。

 五輪後の現役続行は昨年10月に表明、この日も「もうちょっと滑ると思う」と話した。「将来的にはアクセル(4回転半ジャンプ)も跳びたい」と誰も跳んだことがない超大技にあこがれを抱く。負傷前、すでにロープで体を支える補助器具を使って練習していた。2連覇してなお、さらなる高みへ羽ばたく。(産経新聞、田中充)

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