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《zak女の雄叫び お題は「輪」》記者に求められる突破力と聞く力 (1/2ページ)

 平昌冬季五輪の担当になった私は、上司から指示を受けた。「試合の勝ち負けはいらない。選手を支える親、恩師らからじっくり話を聞いてくれ」。選手への愛情やエールを掘り起こしてほしいという要望だ。

 さて、フィギュアスケート界の王子といえば羽生結弦(23)、その背中を追うのが、20歳の宇野昌磨。数回しか会ったことがない宇野の“周辺”に迫るのは、ハードルが高かった。数カ月間、インターネットや書籍、関係者の情報を集め、愛知県に住む祖父の自宅住所と電話番号を突き止めた。

 しかし、見ず知らずの人間から、自宅の電話に「初めまして」と連絡が来たら、どう思うだろう…。個人情報の取り扱いが厳しい時代、怒鳴られるかもしれない…。

 手紙を書こうか、直接電話をしようか、悩むこと2週間。名古屋出張の際、勇気を振り絞って、電話をかけてみた。新聞記者は取材の際、基本的に謝礼を支払わない。交渉を一人で行う。勇気、好奇心、タイミングが求められるのだ。電話の主は、90歳の祖父、藤雄さん本人だった。

 「あんた、年、いくつ?」

 想定外の質問にたじろぎながら、「40歳を超えています」。恐る恐る言うと、「それなら受けてやるよ。話、通じるだろうから」。

 洋画家である藤雄さんは一人暮らし。一日中、絵筆を取っているという。孫が金メダルを取ることを願い、すでに『氷上の舞』という絵も描き上げていた。インタビューは30分の予定だったが、実際には5時間がたっていた。その間、休憩はなく、お茶もなく…(笑)。