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【プロキャディーXのつぶやき】隣席の初老さんが「あした天気になあれ」の、ちばてつや先生! こんな俺に「さん付け」で… (1/2ページ)

 20年以上も前の出来事。コンペが無事に終わり、表彰式を兼ねた懇親パーティーでのことだった。

 「今日は楽しくラウンドできましたか?」

 たまたま隣の席に座った見ず知らずの初老ゴルファーから言葉を掛けられた。

 「はい、おかげ様でスコアはボロボロでしたが、一緒に回った方々がとても気さくで親切で、会話は弾んで楽しかったです」と俺は答えた。

 すると、その初老さんは目を時計の針でいうなら8時20分にして「それは良かった。本当に良い1日を過ごせましたね」と微笑んだ。

 初対面だけに俺は自己紹介して、初老さんの名を尋ねた。「ごめんなさい。名も告げずに失礼しました。ちばです。ちばてつやと申します」と頭を下げられた。

 (そ、そんな滅相もない。お願いですからどうか頭を上げてください。俺は、金づちでいきなり頭を殴られた気がした。水戸の黄門さまの印籠を突き付けられた感じといったらいいだろうか。床に額を押し付けるしかない)

 そんな気持ちになった。

 日本漫画界のレジェンドから声を掛けられるなんて思いもしなかったから、その後、どんな会話を交わしたのか記憶に残っていない。ただ、ちば先生は終始穏やかな口調で、丁寧な言葉遣い。しかも、こんな俺に「さん付け」で話してくれたことだけは覚えている。実るほど頭を垂れる稲穂かな。俺は、生きる稲穂を目の当たりにしたのだった。

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