記事詳細

【日本の元気】桐生の9秒98支えた「3ミリの職人技」 レーンの舗装改修工事手がけた辻広組 (1/2ページ)

 陸上100メートルで悲願の日本新記録、9秒98を出した桐生祥秀(21)=東洋大学。号砲とともに第5レーンを走り出してわずか3歩目、走り幅跳び計測員として第5レーンから10メートルの脇にいた宮西博見さん(45)は、「記録が出る!」と直感したという。走り幅跳びと三段跳びの選手として培ってきた勘だった。

 9月10日、福井県営陸上競技場で開催された日本学生対抗選手権。陸上競技場のスタンドは、10秒を破る記録を期待する福井県民らで満員。競技場の施設工事を長年手がけてきた辻広組(本社・福井市)の専務取締役、塚本純一さん(60)と工事部係長、藤野敬博さん(36)も、90メートル地点を見下ろす席にいた。塚本さんは今も走り続けているマラソンランナーだが、辻広組は目の前のレーンの舗装改修工事を手がけたのだ。

 レーン舗装は15センチの砕石路盤(さいせきろばん)の上に8センチのアスファルト舗装をし、厚さ13ミリのウレタンを敷きつめる。この上に特殊な機械によりウレタンの凸凹を噴き付けるという構造だ。

 トラックは走者たちのスパイクシューズによる傷が避けられない。小さな毛羽立ちでさえ反発力に影響し記録に差が出るため、5年に1回は補修が必要だ。日本陸上競技連盟による定期検査もある。今回の施工では、長谷川体育施設株式会社のレヂンエースというウレタン舗装材を採用した。

 もっとも、表面の仕上げがいくら精密でも、下地であるウレタン部分にわずかな波打ちでもあれば、レーンに大きな影響が出てしまう。福井県営陸上競技場は、劣化していたウレタン部分を深さ3ミリだけきれいに削りとり新しいウレタンを3ミリ盛る工事を行ったが、それを担当したのが辻広組なのである。

zakzakの最新情報をSNSで受け取ろう