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【警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識】津波警報が役に立たない津波!? 2018年インドネシア地震による「海底地滑り」 (2/2ページ)

 海底地滑りの規模と速度が分かった最初の例は1929年のグランドバンクス地震だった。カナダの大西洋岸のすぐ沖で起きてMは7・2。それほど大きな地震ではなかった。だが、大陸斜面にあった12本の海底電線が、この海底地滑りで上から順番に次々に切れていった。切れた一番下までは1100キロメートルもあった。東京から稚内の距離よりも長い。速度は時速100キロメートルを超えていた。自動車なみの速度だ。

 海底面の斜度はごく小さく、米国・カリフォルニア州沖の海底地滑りではわずか0・25度だった。米国東部のミシシッピ河の三角州では100分の1度という小さな勾配のところでも海底地滑りが起きたことが分かっている。

 海底地滑りは地震が小さくてMが5や6でも起きる。米国では1000キロメートル離れた小さな地震で引き起こされたことさえある。インドネシアに限らず、世界のあちこちで、そして日本でも起きる可能性がある。

 日本のいまの津波警報は、震源の位置と地震のMから算出している。

 しかし油断はできない。2018年のインドネシアの地震のように、津波警報よりもずっと早く来たり、予想よりもはるかに大きいことがある。

 つまり、津波警報が役に立たない津波が襲ってくることがあるのだ。

 ■島村英紀(しまむら・ひでき) 武蔵野学院大学特任教授。1941年、東京都出身。東大理学部卒、東大大学院修了。北海道大教授、北大地震火山研究観測センター長、国立極地研究所所長などを歴任。著書多数。最新刊に『多発する人造地震-人間が引き起こす地震』(花伝社)。

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