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【昭和のことば】報復殺人や被害者が自殺する事件も発生 いじめ(昭和61年)

 小学校で「あだ名」で呼ぶことが禁じられ、「さん」づけや「くん」づけなどの丁寧な呼び方が指導されている。先日、こんなニュースにネット上が沸いた。

 賛否さまざまな意見があるものの、「あだ名禁止」の大きな理由は「いじめの撲滅」である。いじめの芽はいつの時代にもあったが、昭和59(1984)年頃から「猛威」を振るい始めた。

 いじめへの報復殺人事件が発生し世間を騒がせたと思ったら、この年、さらに悲惨な事件が起こった。東京・中野富士見中学で、クラス総出で被害者追悼の寄せ書きなどを作成する「葬式ごっこ事件」が発生。被害者は「このままでは生き地獄に」との遺書を残し自殺した。いたずらの延長だと「誤解した」教師までも参加したこの事件は、「いじめ」に対するわれわれの意識を改めざるを得ない状況となった。

 この年の主な事件は、「スペースシャトル・チャレンジャー号爆発事故、乗組員全員死亡」「フィリピンのマルコス大統領が国外脱出、アキノ大統領が就任(エドサ革命)」「チェルノブイリ原子力発電所で大規模な爆発事故発生」「東京・港区にアークヒルズが完成」「レイキャビクでレーガン大統領とゴルバチョフ書記長が会談(米ソ首脳会談)」など。

 この年の映画は、『天空の城ラピュタ』「トップガン」。本は『化身』(渡辺淳一)、『最終便に間に合えば』(林真理子)。角界では、新人類力士・北尾光司が横綱に昇進した。

 「からかい」や「ツッコミ」など、許容できることと禁止すべきことの境界は難しい。いじめっ子がいる。それを止める正義漢がいる。仲間はずれの子がいる一方で、友だち思いの子がいる。そんなクラスの自助作用に期待するのは、いまどきはあまりにも楽天的すぎるのだろうか。=敬称略(中丸謙一朗)

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