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【昭和のことば】新人歌手・菊池明子が歌った『星の流れに』のヒットフレーズ 「こんな女に誰がした」(昭和21年)

 この年、新人歌手の菊池明子が歌った『星の流れに』という曲からのヒットフレーズである。22歳の引き揚げ女性の「転落の弁」をつづった新聞投書を読んだ作詞家の清水みのるが、「夜の女」をイメージし書き上げた。

 女性の悲哀あふれるこの歌は、まず街頭に立つ夜の女性たちによって火が着いた。この女性の「(開き直りながら)男性に詰め寄る」セリフは、昭和時代、テレビ番組のコントなどでも長い間使われていた。50代の筆者の世代にとっては、女性のデカダンス的セリフというよりは、完全にギャグのセリフという印象である。

 この年の主な事件は、「GHQ、軍国主義者の公職追放を指令」「天皇陛下、巡幸を開始」「物価統制令公布、施行」「幣原喜重郎内閣総辞職」「極東国際軍事裁判所開廷(東京裁判)」「第1次吉田茂内閣成立」「米国、ビキニ環礁で原爆実験」「日本国憲法公布」など。

 この年、初の接吻映画『はたちの青春』が封切られた。本は尾崎秀実の『愛情はふる星の如く』、米国雑誌『リーダーズ・ダイジェスト』(日本語版)が創刊された。戦後の混乱期であり、人口調査で失業者数推定600万人と発表、「空いているのは腹と米びつ、空いてないのは乗りものと住宅」ということばが生まれた。

 男が「無力な」女の人生を左右する。それが男のかい性であり、また同時に大きな壁でもあった。お互いがお互いのせいにしながら、男と女がもたれあって生きていく。たしかに現代の自立した男女関係から見ると、ぬるくだらしない生き方なのかもしれない。おまけに性差別的でもある。

 でも、そんな時代の「くすぐったさ」をどこか懐かしんでいるのも、また現代人なのである。=敬称略(中丸謙一朗)

 〈昭和21(1946)年の流行歌〉 「東京の花売娘」(岡晴夫)「啼くな小鳩よ」(岡晴夫)「みかんの花咲く丘」(川田正子他)

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