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【昭和のことば】世間で吹き荒れていた中高生の非行を象徴した大ベストセラー「積木くずし」(昭和58年)

 昭和58(1983)年、俳優、穂積隆信の一人娘の非行とそれからの立ち直りを克明に描いた手記『積木くずし』(桐原書店)が250万部(当時)を売り上げる大ベストセラーとなった。本の副題は「親と子の200日戦争」、家庭内暴力やシンナー遊び、不純異性交遊など、世間でも吹き荒れていた中高生の非行を象徴するかたちで、注目を集めた。

 テレビドラマ化もされ、母親役の小川真由美、娘役の高部知子の迫真の演技で、最終回の視聴率45・7%(関東地区)をたたき出した(父親役は前田吟)。

 この年の主な事件は、「中川一郎自民党代議士、急死」「横浜市浮浪者連続殺傷事件で、中学生を含む10人逮捕」「中国自動車道全通」「東京ディズニーランド開園」「戸塚ヨットスクール校長、傷害致死容疑で逮捕」「死刑囚再審の免田事件で初の無罪判決」「大韓航空機、ソ連空軍機に撃墜され269人全員死亡」「東京地裁、ロッキード事件判決公判で田中角栄に懲役4年の実刑判決」「静岡県掛川市のレクリエーション施設『つま恋』でプロパンガス大爆発」など。

 この年の映画は『戦場のメリークリスマス』(大島渚監督)。テレビでは『金曜日の妻たちへ』『ふぞろいの林檎たち』が放映された。中高生は「ツッパリ」、大学生は「ふぞろい」、そして大人は(不倫容認?の)「金妻」。それぞれが、重苦しい時代の束縛から解き放たれるように自由を謳歌(おうか)した。

 そういえば聞こえはよいが、実際のところ、まだ本当の自由が分からず、相変わらずの「クソ真面目な」日本人の品性の中に、ちょっとした混乱の渦が生じていた。振り返れば、そんな時代だったのかもしれない。 =敬称略 (中丸謙一朗)

 〈昭和58(1983)年の流行歌〉 「矢切の渡し」(細川たかし)「めだかの兄妹」(わらべ)「さざんかの宿」(大川栄策)

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