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【警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識】温暖化が加速する「シベリアに開いた大穴」 地下の空洞のメタンガスが爆発して開いたもの (2/2ページ)

 爆発を見た人はいない。だが、これだけの穴が開いたのはすさまじい爆発だったに違いない。

 メタンは、ガスとしては二酸化炭素よりも25~80倍も影響が大きい地球温暖化ガスだ。いまは二酸化炭素に次いで地球温暖化に及ぼす影響が大きい温室効果ガスだ。

 将来は、もっと増えるかもしれない。メタンガスが永久凍土から大量に放出されることで地球温暖化が一層進むことになる。

 それだけではない。永久凍土の土壌には地球大気の約2倍の炭素が含まれている。膨大な炭素が凍結した有機物として閉じ込められているのだ。永久凍土が解けると有機物が温められて腐敗するから、二酸化炭素やメタンとして放出される。そして地球の温暖化を一層加速する。

 じつは地球規模のメタンの研究は、まだ進んでいない。メタンの排出源が多様なせいだ。永久凍土層のほか、熱帯の湿地、家畜、埋め立てごみなどの排出源がある。

 北極圏では永久凍土が溶けることで多くのメタンを出し始める。一方、熱帯の湿地でも土壌の温度が上り、メタンガスを吐きだす微生物の活動が盛んになってメタンガス排出がさらに増える。

 また、石油やシェールガスやシェールオイル採取にともなうガスの放出も、メタンの3分の1を占めている。シェールガスやシェールオイルの採掘には水圧破砕法を使うが、副次的に出るメタンがとくに多い。水圧破砕法は地震も起こすので問題になっている。

 これまでに人類のせいで増加した地球温暖化の4分の1がメタンによるものだとする試算もあるほどだ。メタンは、将来の地球温暖化のカギを握っているのだ。

 ■島村英紀(しまむら・ひでき) 武蔵野学院大学特任教授。1941年、東京都出身。東大理学部卒、東大大学院修了。北海道大教授、北大地震火山研究観測センター長、国立極地研究所所長などを歴任。著書多数。最新刊に『多発する人造地震-人間が引き起こす地震』(花伝社)。

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