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【緊迫する世界】「バイデン大統領」誕生なら米国のパワー衰え、中国がアジアで覇権 台湾めぐって米中衝突の可能性も (2/2ページ)

 ポピュリズムや不法移民、新型コロナウイルスに打ちひしがれている国々は、もう米国には期待しないだろうし、米国にも余力はない。米国は、新型コロナで22万5000人以上の死者を出し、その解決策がみつからないからである。

 トランプ氏が破壊した世界を元に戻すことは、ほとんど不可能に近い。

 バイデン氏は「トランプ氏が国際秩序を破壊した」と批判し、「法と秩序」のもと、同盟国との関係や多国間の枠組みを重視し、国際社会での米国の指導力を新たなかたちで構築しようとするだろう。

 国力の落ちたバイデン氏の米国は同盟国を頼り、さらなる防衛努力を日本など同盟国に求めてくるはずだ。その一方、中国ともロシアとも和解することになろう。

 その結果、ロシアや中国、イランなどの権威主義大国が闊歩(かっぽ)し、中国のカネには期待するが、パワーの衰えた米国にすがる国は少なくなるとみられる。それはアジアで顕著となろう。アジア地域では、米国の覇権にとって代わり、中国が覇権を握る可能性が高く、移行期の現在が最も危険である。

 特に、台湾をめぐって、いつ米中間に衝突が起こっても不思議ではない。日本にとっては「危機迫る時期」が間近に迫ってきている。

 ■川上高司(かわかみ・たかし) 拓殖大学海外事情研究所所長。1955年、熊本県生まれ。大阪大学博士(国際公共政策)。フレッチャースクール外交政策研究所研究員、世界平和研究所研究員、防衛庁防衛研究所主任研究官、北陸大学法学部教授などを経て現職。著書・共著に『トランプ後の世界秩序』(東洋経済新報社)、『2020年生き残りの戦略-世界はこう動く!』(創成社)など。

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