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【警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識】韓国「人造地震」の脅威 「地震がほとんどない国」だからこそすぐに判明 (2/2ページ)

 地震の震源は地熱発電の穴から600メートルしか離れていなかった。しかも震源の深さは発電施設の井戸の深さとほぼ一致していた。操業開始以前には観測されたことがなかったM2以上の地震がいくつも起きていた。

 発電は、地下深くの岩石に高圧の水でヒビを入れてそこから出た蒸気でタービンをまわす方式だ。このために地下4キロの穴を2本堀った。一方に水を注入し、地熱で加熱し、発生した水蒸気を別の穴から取り出す。プレート境界から遠くても地熱はあるので、地熱発電は可能なのだ。

 この地熱発電所は2016年6月に試運転を開始し、17年12月から商業運転に入る予定だった。だが、その直前に地震が起きてしまった。

 M5・4の地震は韓国有数の工業都市、浦項(ポハン)を襲い、家屋が倒壊するなどして92人が負傷し、被災者は1800人にのぼった。

 地震を受けて、韓国の産業通商資源省は地熱事業の中止を決定した。

 スイスでも、バーゼルで地熱発電所が稼働中の06年に地震を起こした。地熱発電所はスイス政府の命を受けて、地震で建物の損壊などの被害を受けた地元住民に補償したことがある。

 そのときの地震のMは3・4。韓国の地震のエネルギーはスイスの地震よりも1000倍も大きく、地熱関連では世界最大の地震だった。

 スイスも韓国と同じく、ふだんの地震活動がごく低い国だから、この地震が人造地震であることが分かったのである。

 ■島村英紀(しまむら・ひでき) 武蔵野学院大学特任教授。1941年、東京都出身。東大理学部卒、東大大学院修了。北海道大教授、北大地震火山研究観測センター長、国立極地研究所所長などを歴任。著書多数。最新刊に『多発する人造地震-人間が引き起こす地震』(花伝社)。

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