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【警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識】ブームの火星探査 周回衛星よりも一段と難しい着陸 (2/2ページ)

 UAEの探査機は周回衛星どまりだ。中国は来年2月に周回軌道に入ったあと、5月ごろ着陸機を分離させる。着陸に成功するかどうかに注目が集まっている。

 では、なぜ火星を目指すのだろう。

 太陽系で火星と同じく地球の隣の星、金星は表面温度が500度にも達して海は蒸発してしまった。生物が暮らせる環境ではない。探査機はこの熱で何機も死んでしまった。いつも厚い二酸化炭素の雲に覆われている。

 火星は同じく隣の星だが、雲に覆われていないので地球からよく見える。地球より1・5倍ほど太陽から遠いので太陽の熱を受けることが少なく、他方、大きさが地球の半分しかない。このため地球よりもずっと早く冷えてしまった。

 一方で、地球と同時期の46億年前に作られた内部は地球ほど対流やプレート運動で混ざり合っていないので、内部の構造が誕生初期に近い形で保存されている可能性がある。地震があるとしても地球の地震とは大いに違うだろう。

 火星は昔から火星人の舞台として想像されてきた。いまは、一時は生命があったとしても原始的な生物だけだということが分かっているが、運河もあり昔の川も見えて、地球にとってロマンの多い兄弟の星なのである。

 ■島村英紀(しまむら・ひでき) 武蔵野学院大学特任教授。1941年、東京都出身。東大理学部卒、東大大学院修了。北海道大教授、北大地震火山研究観測センター長、国立極地研究所所長などを歴任。著書多数。最新刊に『多発する人造地震-人間が引き起こす地震』(花伝社)。

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