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【昭和のことば】悲しみや嘆きを表す「ブースカ語」 シオシオのパー(昭和41年)

 よくできたことばだと思う。塩をかけられた菜っ葉が元気なくクシュンとなってしまうさまがよく出ている。悲しみや嘆きを表す、昭和41(1966)年に放送開始した『快獣ブースカ』で使用された「ブースカ語」である。その他いくつかのことばがあったが、なぜかこの「嘆き」のことばだけが記憶に残る。

 この年の主な事件は、「全日空機、羽田空港着陸直前に東京湾に墜落」「富山県、全国初の登山届出条例制定」「住民登録集計による総人口が1億人を突破」「日産自動車とプリンス自動車工業、合併に調印」「アメリカ原子力潜水艦、横須賀初入港」「ビートルズが来日、日本武道館で公演」「閣議、新東京国際空港を成田市三里塚に建設決定」「全日空YS11型機、松山空港で海上に墜落」「衆議院解散(黒い霧解散)」など。

 この年の映画は『白い巨塔』。テレビは『ウルトラマン』。遠藤周作が小説『沈黙』を発表。交通事故死亡者総数は1万3319人で史上最悪となり、交通戦争激化が叫ばれた。巷では、フォークソング・ブームが起こっていた。

 この欄で何度か書いているが、「シオシオのパー」にしても「ハイそれまでョ」にしても、一見否定的な言葉だが、この頃のことばにはなんとも言えない「救い」の気分がある。実際はそう甘いものではなかったのかもしれないが、たとえ「シオシオのパー」の結果でも、何度でもやり直せるような空気があった。

 時代の熱気といってしまえばそれまでだが、「詰んだ」だの「オワコン」だの、救いようのない現代のことばたちの片隅に、ぜひこの「シオシオのパー」を加えていただきたい。それだけで、世の中が明るくなると思っている。=敬称略 (中丸謙一朗)

 〈昭和41(1966)年の流行歌〉 「君といつまでも」(加山雄三)「柳ヶ瀬ブルース」(美川憲一)「バラが咲いた」(マイク真木)

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