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【勝負師たちの系譜】将棋の話から遊びの話まで…対局中もにぎやかだった棋士たち (1/2ページ)

 現在の対局室では、10時の開始時間に両対局者が「お願いします」と言った後は、まったく会話のない静寂な時間が過ぎていく。

 しかし昭和の時代は、若手棋士はともかく、年配棋士達は午前中の間は賑やかで、対局者同士、また観戦に来た棋士とも良く話をしていた。

 「この間の将棋は、あなたの方が勝ちだったんじゃない?」という将棋の話から「先週の競輪はどうだった」などの遊びの話まで。中には株式市況の模様を、短波ラジオで聞いている人もいた。

 花村元司九段が対局室に観戦に来たファンに対し「せっかく皆さんが来たから一手指しますよ。この手が悪手だったら皆さんのせいですからね」と言って、指す姿を見せたこともある。

 観戦者がいる時には、対局者は指しにくく、指すところを見ることは少ないのを見越しての、サービスである。

 私自身も困ったことがいくつかあった。米長邦雄永世棋聖の師匠、佐瀬勇次名誉九段は、私が対局をしていると必ず「青野君、今日は誰をあしらっているのかね」と言うのだ。これに答えると、あしらっていることを認めることになるので、返事はできない。

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