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徴用工訴訟の現金化 対抗措置準備も関係悪化望まず 日本政府 

 日本政府は、韓国内で差し押さえられた日本企業の資産が現金化されれば、対抗措置を講じる構えだ。ただ、新型コロナウイルスの感染拡大で国際政治の不確定要素が増す中、これ以上の日韓関係の悪化は望んでおらず、文在寅政権の賢明な対応にわずかな期待も寄せている。

 「この問題が発生してから、ありとあらゆる対応策を検討している」

 菅義偉官房長官は1日の読売テレビ番組で、いわゆる徴用工訴訟をめぐる韓国の国際法違反についてこう語った。日韓間の請求権について「完全かつ最終的」な解決を確認した昭和40年の協定に違反し、友好協力関係の法的基盤を根本から覆す-。政府は日本企業に損害賠償を命じた韓国最高裁判決をこう批判し、早期是正を求め続けている。

 しかし、韓国政府は協定に基づき日本政府が要請した二国間協議や仲裁委員会の設置に応じず、訴訟の原告側はその間、日本企業の韓国内の資産の差し押さえと売却の手続きを進めた。茂木敏充外相は6月3日の日韓外相電話会談で「現金化は深刻な状況を招くので避けなければならない」と迫ったが、進展はない。

 国際法は、相手国に先に違法行為があった場合、それをやめさせる目的で非軍事的な強制措置をとることを認めている。日本政府は対抗措置として国内にある韓国側の資産差し押さえや輸入関税引き上げなど二桁に上るメニューを検討。外務省幹部は「対応は不断に考えている」と語る。

 ただ、最近の米中対立の激化や北朝鮮情勢などを踏まえれば、致命的な関係悪化は得策でない。日本政府はビジネス人材の往来再開に向けた協議対象の12カ国・地域に韓国も含めた。日本政府は「今後も早期に解決策を示すよう求めていく」(菅氏)考えだ。(原川貴郎、産経新聞)