記事詳細

【昭和のことば】なんでも名前を付ければ蘇る、の典型 プレタポルテ(昭和38年)

 なんでも名前を付ければ蘇る、の典型である。高級な服、中でもオーダーメードばかりがもてはやされるのを避けるため、(比較的高級な)既製服にしゃれた名前(プレタポルテ=フランス語で既製服)をつけて売り出そう、そんな西武デパートの仕掛けが当たった。

 「吊るし」などといわれ、安物のイメージが強かった既製服だが、このキャンペーンは、当時急速に拡大していた「中間層」の上昇志向をいたく刺激し、「プレタポルテ」ということばは瞬く間に認知されていった。

 この年の主な事件は、「国産テレビアニメ第1号『鉄腕アトム』放送開始」「人口105万人の新都市、北九州市が発足」「吉展ちゃん事件発生」「大阪駅前に日本初の横断歩道橋完成」「瓶詰め生ビール、サントリービール発売」「黒部川第四発電所(黒四ダム)完工式」「政府主催の第1回全国戦没者追悼式開催」「米原潜寄港反対集会を横須賀・佐世保で開催」「新1000円札(伊藤博文肖像)発行」「三井三池鉱業所三川鉱で大爆発」「プロレスラー力道山、やくざに刺され死亡」など。

 この年の映画は『五番町夕霧楼』『アラビアのロレンス』。大鵬が大相撲初の6場所連続優勝。経済企画庁は、『経済白書〈先進国への道〉』を発表。まさに高度経済成長時代の始まりを告げる時代であった。

 ファストファッションの時代となった。安物が嫌われるどころか歓迎され、「できる範囲」で楽しんでいくような新たな価値観さえ生まれてきた。不必要な拡大主義、金満思想はいらないが、社会の新たな繁栄のかたちを作り出していくような見栄や上昇志向なら、本来は大いに歓迎すべきことなのだ。 =敬称略 (中丸謙一朗)

 〈昭和38(1963)年の流行歌〉 「高校三年生」(舟木一夫)「こんにちは赤ちゃん」(梓みちよ)「見上げてごらん夜の星を」(坂本九)

関連ニュース