記事詳細

【勝負師たちの系譜】木村義徳九段は棋界一の評論家 「棋士は若いうちはハングリーでないと勝てないが…」 (1/2ページ)

 ★心に残る先輩の言葉

 このテーマにおいて、どうしても外せない棋士の1人が木村義徳九段である。

 木村義雄14世名人の子息で、大学将棋で活躍し、アマ名人になった後、いきなり奨励会三段でプロ入りした経歴を持つ。

 44歳でA級になったにもかかわらず「俺は弱い」を口癖にしていて、『弱いのが強いのに勝つ法』という本まで出したくらいである。

 私が「A級まで行った人が弱いというのはおかしいのでは」と言うと、「いや私は弱い。その証拠に、奨励会のI君と100局指して負け越しだから」と言って譲らなかった覚えがある。

 氏は文章にも長けていて、私は棋界一の評論家だったと思っている。

 その1つに「棋士は若いうちはハングリーでないと勝てないが、年を取って生活に追われていては勝てない」というものがある。

 確かに奨励会員で、豪華マンションに住んでいるような子は強くならないし、中年になって(この将棋を勝たねばローンが払えない)と思いながら指す人も、まず勝てないだろう。

 「順位戦で一番長くいたクラスがその人の実力」というのもある。順位戦は長年に亘りランクを決める棋戦だから、これもまた真理かと思う。

 この理論で言えば、私はB級1組(15期)の棋士になる。

 ちなみに名人が一番長かった棋士は、中原誠16世名人で、大山康晴15世は亡くなる69歳までA級にいたため、A級が一番長い。

関連ニュース