記事詳細

【昭和のことば】学生の長髪禁止とともにあった呼びかけ パーマネントはやめましょう(昭和14年)

 戦時体制に備えるため、国民精神総動員委員会は広く国民に対し、生活刷新案を決定し発表していた。早起きの励行、節約、娯楽・遊興の制限、虚礼廃止など生活一般におよぶ刷新案であったが、その中で学生の長髪の禁止とともに「パーマネントはやめましょう」という呼びかけがあった。

 これは強い反発を生んだが、業者の自粛などもあって徐々に浸透。この年の流行語となった。女性のみならず子供のくせ毛までが標的になる始末だったが、完全なる絶滅には至らず、電髪などと名前を変えたりしながら戦後にまで生き残った。

 この年の主な事件は、「平沼騏一郎内閣成立」「双葉山、安芸ノ海に敗れ連勝記録が69でストップ」「日本軍、南海島上陸」「各地の招魂社、護国神社と改称」「中央物価委員会が砂糖、清酒、ビール、木炭、絹織物などの公定価格を決定」「満蒙国境で満州・外蒙古両国軍隊衝突(ノモンハン事件発端)」「零式艦上戦闘機、初の試験飛行実施」「国民徴兵令公布」「東京市、隣組回覧板10万枚配布」「平沼内閣総辞職、阿部信行内閣成立」「第二次世界大戦始まる」「朝鮮総督府、朝鮮人氏名の日本式創氏改名指示」など。

 この年、前述の国民精神総動員委員会は、遊興営業の時間短縮、ネオン全廃、中元歳暮の贈答廃止などを発表。街中に少しずつ戦争の気配が広がりはじめていった。

 戦争ではない。だが、ウイルスという見えない敵と闘う重苦しい日々が続いている。自粛することの難しさ、また、自粛させることの理不尽さや困難さ。半世紀以上も前の流行語にそんな思いをはせる。「やめる」ことの呼びかけではなく、少しでも豊かな気分に浸れる、「できる」ことの奨励を心がけていきたい。(中丸謙一朗)

 〈昭和14(1939)年の流行歌〉 「父よあなたは強かった」「兵隊さんよありがとう」「九段の母」(二葉百合子)

関連ニュース