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【昭和のことば】薩摩地方の焼酎の伝統的な蒸留法に由来 ちんたら(昭和44年) 

 いつの時代も軽妙な(?)ことばをはやらせてるのは若い人たち。その昔は学生、現在であれば女子高生が主流というわけだ。そのはやりことばのひとつ「ちんたら」は、もたもた、だらだらしている様子を表すことばだ。筆者などはいまだに普通に使ってしまう。

 ものの本によると、このことばは、江戸から明治にかけて薩摩地方では一般的だった焼酎の伝統的な蒸留法に由来するらしい。もろみの入った鉄釜を直火で「ちんちん」と加熱する。やがて蒸発したアルコール分が液化し、孟宗竹の筒を伝って「たらーり、たらーり、」と滴り落ちる。これが「ちんたら」のもともとの語源である。

 この年の主な事件は、「安田講堂事件」「連続ピストル射殺魔・永山則夫逮捕」「国鉄にグリーン車が設置」「東名高速道路全線開通」「原子力船むつ、東京で進水式」「米宇宙船アポロ11号人類初の月面着陸」「厚生省、発がん性が問題化した人工甘味料チクロの使用禁止を決定」「佐藤・ニクソン会談終了。沖縄返還、安保堅持の共同声明発表」など。

 この年の映画は、『男はつらいよ』。本は、庄司薫『赤頭巾ちゃん気をつけて』、海音寺潮五郎『天と地と』。プロ野球で金田正一が400勝達成。巷では、全共闘運動が収束、「シラケ」ムードが広がっていた。

 語源を聞くと若い人が生み出した新感覚というほどではないが、なるほど擬音の感じがその当時の「ダルな感性」とマッチしたのだろう。

 筆者が学生の頃もよく使ったし、その際には(あくせくではなく)「ちんたらやっていられる余裕」みたいなニュアンスも含んだことばだったような気がしている。現在は使われているのか。古いというより、ちょっと「荒い」ことばなのかもしれない。=敬称略(中丸謙一朗)

 〈昭和44(1969)年の流行歌〉 「フランシーヌの場合」(新谷のり子)「黒ネコのタンゴ」(皆川おさむ)「いいじゃないの幸せならば」(佐良直美)

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