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【昭和のことば】意味はなくても、ただ面白かった… カラスの勝手でしょ(昭和55年)

 志村けんさんが逝った。いくつもの追悼報道がなされた。どうしても新型コロナウイルスとの関連で語られてしまうが、1人の芸人の「完結した」生き方を見せてもらったという思いで追悼したい。

 比類なき大物だったのかどうか、笑いの神だったのかどうかは、志村さんに何かをもらい続けた各人が決めればいい。ただ、やはり彼はひとつの才を与えられ、「役割」を担っていたように思う。

 彼のマイム的お笑いは、人々の「ある時期」の楽しみとして大きな役割を果たし、まるで職人のごとく、多くの世代に伝えた。彼が時代とともに歩んだのではなく、わたしたちが通過できるように、いつもそこに止まっていてくれたのだと、わたしは思う。

 この年の主な事件は、「パンダのホァンホァン、中国・北京より上野動物園着」「政府、アフガニスタン問題でモスクワ五輪不参加を表明」「東京銀座昭和通りで、トラック運転手、1億円を拾得」「大平正芳首相、心筋梗塞で死去。衆参ダブル選挙で自民党圧勝」「イエスの方舟、集団失踪事件」「鈴木善幸内閣成立」「新宿駅西口バス放火事件」「長嶋茂雄、巨人軍監督辞任。王貞治現役引退」「栃木県川治温泉・川治プリンスホテル全焼」「金属バット殺人事件」など。校内暴力、家庭内暴力が問題化。歌手の山口百恵が結婚・引退。原宿の路上で踊る竹の子族が話題となった。

 一世を風靡(ふうび)した「カラスの勝手でしょ」。本当のところ、この流行語にさしたる意味はないのだと思う。ただ子供にとって面白かったし、なんだかうれしかった。

 志村さんは生前、子供にバカと思われているのがコメディアンの本望だと語っていた。ただただ、残念である。(中丸謙一朗)

 〈昭和55(1980)年の流行歌〉 「恋人よ」(五輪真弓)「ダンシング・オールナイト」(もんた&ブラザーズ)「雨の慕情」(八代亜紀)

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