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【昭和のことば】日本中のプロ野球ファンが感極まった瞬間 我が巨人軍は永久に不滅です(昭和49年)

 この年、ミスタープロ野球・長嶋茂雄が引退した。

 陽の光が落ち、ナイター照明で浮かび上がるグランドで、長嶋の引退セレモニーが行われた。「昭和33年~」で始まったスピーチのクライマックスにこのことばは生まれた。当のミスタープロ野球をはじめ、球場の、そしてテレビの前にいる日本中のプロ野球ファンが感極まった瞬間だった。

 当時筆者は小学5年生。何とか間に合った長嶋世代だと心から喜んでいる。自己演出で有名なスターだけど、最後の最後には所属していた組織をたたえ、感謝の念を示す。これこそ、あの「高度成長期」の大スターだ。

 この年の主な事件は、「ルバング島で、小野田寛郎元陸軍少尉発見、帰国」「堀江謙一、小型ヨットで単独無寄港世界一周(275日)に成功」「原子力船むつ、帰港反対で漂流」「平塚市の団地で『ピアノの音がうるさい』と母子3人刺殺される」「東京・丸の内の三菱重工ビルで爆弾が爆発。死者8人、重軽傷者388人」「佐藤栄作、ノーベル平和賞受賞決定」「立花隆『田中角栄研究-その金脈と人脈』(文芸春秋)発表、田中退陣の口火をつける」など。

 この年の映画は『エクソシスト』。本では、リチャード・バックの『かもめのジョナサン』(五木寛之訳、新潮社)。王貞治が史上初の2年連続三冠王を達成した。

 いまやすっかり「個」の時代になった。組織に対する名言って実はめずらしい。個人よりも組織に対する思いが強いことばは、どんなジャンルでも違和感を覚えてしまう。

 そう思うと、平成の大監督へと成長した原辰徳監督の「ジャイアンツ愛」(2002年)は、ミスターからの確実なる継承を感じさせることばである。(中丸謙一朗)

 〈昭和49(1974)年の流行歌〉 「二人でお酒を」(梓みちよ)「うそ」(中条きよし)「襟裳岬」(森進一)

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