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【東日本大震災から9年 忘れない、立ち止まらない】息子を亡くした母の思い「悲しみを繰り返させない」 避難道路「シンボルロード」開通 (1/2ページ)

 岩手県陸前高田市に昨年4月、海側から山手へと延びる広幅員の路線「シンボルロード」が開通した。その道をまぶしそうに見つめていた人がいる。「陸前高田『ハナミズキのみち』の会」代表、浅沼ミキ子さんだ。

 大きな地震が起きたとき、みんなが一直線に高台へ駆け上がれる避難道路。その整備を誰よりも願ってきたのが浅沼さんだ。街路樹として同会が道の両脇に植えたのは、白や桃色の花をつけるハナミズキだった。

 浅沼さんは大震災で長男、健(たける)さん(当時25)を失った。

 大津波襲来直前に息子と会っていたのに「避難しなさい」と声をかけられず、死なせてしまった…泣き暮らしていた浅沼さんの夢枕にある晩、健さんが立った。

 「おかん、避難路にハナミズキを植樹してよ。いざというとき、どこへ逃げればいいか一目で分かるように」-健さんはそんなふうに訴えたという。

 「まちのみんなを守りたい」-故郷が好きで、人が大好きだった健さんから受け取った願いを、浅沼さんは誰にでもわかりやすいよう、絵本に込めたいと考えた。題名は『ハナミズキのみち』。老舗児童書出版社「金の星社」から刊行が決まり、『ごんぎつね』などで知られる絵本作家、黒井健さんが挿絵を手がけてくれた。

 『ハナミズキのみち』は全国の人々、特に母親たちの共感を呼んだ。「母の日」のころに花開くハナミズキをシンボルロードに植えるための署名も1万筆以上集まり、市もその植樹に理解を示してくれた。

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