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【東日本大震災から9年 忘れない、立ち止まらない】新型コロナ対応が呼び起こす「9年前の記憶」 重苦しい空気に包まれる被災地 (1/2ページ)

 新型コロナウイルスの感染拡大防止を狙いとした小中高校の一斉休校や、そのほか、もろもろの対応が、東日本大震災の被災地においては図らずも9年前の記憶を呼び起こすものになっている。

 政府の“要請”を受けて岩手県気仙地方(大船渡市、陸前高田市、住田町)でも、市内の小中学校が3日から休校措置を取った。

 取材先で、小中学生の子を持つ保護者らと雑談していて、「もし、これで卒業式まで中止になったら…」という話題が上ったとき、中学3年の子を持つ親が「あの子たち、卒園式もできなかったんだよねえ…」とつぶやいた。

 今年中学を卒業するのは、2011年3月に保育園などを巣立った世代。

 「そういえば彼らの卒園式は震災の影響で中止となったんだっけ…」

 当時の状況が瞬く間によみがえる。保護者たちも記憶が呼び起こされた様子で、「それだけじゃないよ、あの時は入学式もちゃんとできなくて」「そのあとの6年間、中学校でも2年は校庭が使えなくて」と口々に話し始めた。

 仮設住宅が建てられた学校で、やっと校庭が元通り使えるようになり始めたのは、ここ1、2年の話だ。この9年間、ただでさえ“当たり前”の学校生活を送ってこられなかった生徒たちのことを思うと、今回の措置には胸が痛む。

 「思い出しちゃうねえ…」

 誰かが言い、その場が一気にしんみりとした。

 陸前高田市と大船渡市は、市内の公共施設を当面、全面休館すると決めた。「そこまでする必要があるのか」という声もなくはない。だが、戸羽太陸前高田市長の「大震災であれほどの被害を受けた自治体として、改めて危機管理能力が問われる場面だ」という言葉のほうに分がありそうだ。

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