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【警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識】加入者急増!スイスの「地震保険」事情 (2/2ページ)

 スイスの連邦工科大学チューリヒ校が作ったハザードマップによれば、スイスの南西部と南東部で地震危険度が高く、同国最大の都市チューリヒなど北部では低い。

 2017年3月にスイス中部で起きた地震は、スイスでここ数年の間に起きた最大の地震だった。地震のマグニチュード(M)は4・6だった。

 幸い、被害は壁のひび割れ、水道管の損傷、煙突の崩落程度だった。この地震はスイス中央部の多くを占めるドイツ語圏の全域で感じられた。

 このほか、近年は人間が起こす地震、つまりダム地震や地熱開発にともなう地震も増えている。

 小さな地震を起こしたために地熱発電の開発が中止されたことがある。バーゼル市内で行われていた「ディープ・ヒート・マイニング」という計画で、5000メートルの井戸を掘って、年間2万メガワット時(MWh)の電気と、年間8万MWhの温水を得ようとしたものだ。二酸化炭素を出さないのが取りえではあったが、バーゼル州政府は2009年に計画の中止を決断した。

 50キロメートル先にはフランスの「フェッセンハイム原発」もある。バーゼルは地震に敏感なのだ。営業運転の開始は1978年でフランス最古ゆえ廃止され、2月に廃炉作業が始まる。

 自然地震と人造地震。スイスでは地震保険への関心が高まっているのである。

 ■島村英紀(しまむら・ひでき) 武蔵野学院大学特任教授。1941年、東京都出身。東大理学部卒、東大大学院修了。北海道大教授、北大地震火山研究観測センター長、国立極地研究所所長などを歴任。著書多数。最新刊に『多発する人造地震-人間が引き起こす地震』(花伝社)。

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