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【昭和のことば】浅香光代、剣劇のさなかに着物の裾がめくれて… チラリズム(昭和26年)

 この「チラリズム」という色気のあることばの出所が、あの「ミッチー・サッチー騒動」の片割れ、浅香光代だということに驚く。現在50代の筆者でさえもまるでピンとこない話だが、彼女はかつて女剣劇のスター。戦前からあった(女性が主人公の男役をつとめる)チャンバラ劇だが、この年の浅香光代一座の浅草登場によって一大ブームとなった。

 チラリズムとは、剣劇のさなかに着物の裾がめくれてチラリと内ももをのぞかせるエロチシズムを指した造語である。

 この年の主な事件は、「NHK、第1回紅白歌合戦スタジオ放送」「三原山大爆発」「アメリカ政府、マッカーサーを罷免。離日。その後、アメリカ議会で『老兵は死なず、ただ消え去るのみ』と演説」「横浜桜木町駅で国電二両が焼失し、ドアが開かず106人死亡(桜木町事件)」「全国を9分割した電力会社発足」「孤島で敗戦を知らずに過ごした女性が生還。アナタハンの女王と騒がれる」「サンフランシスコ対日講和条約調印」「黒澤明監督の『羅生門』、ベネチア国際映画祭でグランプリ獲得」など。

 この年の映画は『カルメン故郷に帰る』(日本初の総天然色)『自由学校』。本は安部公房『壁』、堀田善衞『広場の孤独』。この頃、日本初のLPレコード、ベートーベン『第九交響曲』が発売された。

 「ストリップ・ショウがそのものズバリの舶来のエロなら、私はチラリチラリのチラリズムのニッポン的なお色気でいってやろう」。浅香は後年、自著『女剣劇』(学風書院、1958年発行)の中でこのように記している。剣劇はもはや見るすべはないが、写真で見る若き日の彼女は、たしかにきりりとした目元に、なかなかのお色気を感じさせている。=敬称略(中丸謙一朗)

 〈昭和26(1951)年の流行歌〉 「越後獅子の唄」(美空ひばり)「上海帰りのリル」(津村謙)「雪山賛歌」(アメリカ民謡の替え歌)

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