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内定辞退セットに賛否両論 心のこもった「就活謎マナー」が企業にとっても大迷惑な理由 (3/5ページ)

 ◆たびたび話題になる「就活謎マナー」

 本来、採用選考において判断されるのは応募者の人柄や経験実績、思考や行動パターンといった中身であるはずだが、ちまたにあふれる「面接突破アドバイス」には「応募書類は手書きか否か」「ドアノックの回数」「お辞儀の角度」……など、本質からズレたようなマナー指導が散見される。もちろん、相手に失礼にならない程度のマナーは意識すべきだが、「直立時の爪先間隔は○cm開けるべき」というような、あまりに枝葉末節にこだわる指導に対しては「本当にそこにエネルギーを割くべきか?」と大いに疑問を抱かざるを得ない。

 私はこれら量産される無意味とも思える過剰なマナーを「就活謎マナー」と総称し、かねてより問題視してきた。とくに、働く側が持つ権利を使わせず、結果として違法ブラック企業に忖度(そんたく)するかのような対応が「マナー」として教えられている状況には強いもどかしさを感じている。その双璧ともいえるのが次の2点だ。

 ◆就活謎マナーその1:面接で待遇について質問するのはNG

 「面接で給与や休暇、福利厚生について質問すると、仕事への興味が薄いと捉えられます」

 「待遇に関する質問はマイナス印象を持たれる可能性があるので控えるようにしましょう」

 同様のアドバイスは就活マニュアル本や転職サイトのみならず、教育現場においてさえも普通になされている。もちろん、面接で待遇「しか」質問しないとか、応募先のWebサイトに書かれているような情報を確認せずに質問する、といった行為はさすがにナンセンスだ。しかし、「待遇について確認するのはNG」というメッセージはそれこそNGだと筆者は考える。こんな前時代的なアドバイスによって「給与や休日について胸を張って説明できないようなブラック企業をなぜ擁護するのか?」と大いに疑問である。

 そもそも、給与や労働時間などの労働条件は、企業側が採用時に明示しなければならないと労働基準法で定められている。知ることは労働者の権利であるし、求職者にとっても大切な情報なのだから、遠慮なく確認すべきなのだ。

 労働環境が整った企業であれば、自社の給与水準や労働環境について自信をもって説明できるはずだし、昨今では「当社の育休復職率は100%です!」などと企業のアピールポイントにもなる。逆に、こんな質問程度で「マナー違反だ!」「こいつはやる気がないのか」などと逆上するような企業は、満足な給与も労働環境も提供できない狭量な会社と判断してよい。こうした質問を嫌がるのはブラック企業だけなのだ。

ITmedia ビジネスオンライン

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