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【高橋洋一 日本の解き方】米中「第1段階合意」の実情 大統領選後に一時休戦破棄、共産主義を揺さぶる事態も (1/2ページ)

 米中両国は15日、貿易交渉の「第1段階」の合意文書に署名した。

 米国が中国製品に課している関税について各種の調査があるが、ピーター・ナバロ米大統領補佐官(通商担当)は米国人にはダメージを与えていないと強調している。

 各種調査は中国製品を輸入している企業などのミクロ的な影響を問題にする一方、ナバロ氏はマクロ的な影響はないという。たしかに、食料・エネルギーを除く消費者物価指数(CPI)を対前年比でみると、2011年5月以降、1・5~2・5%に収まっている。ちなみに、昨年10月は2・3%、11月は2・3%、12月は2・2%と安定していた。関税が米国人にマクロ的に悪影響があるなら、消費者物価が上昇するはずだが、そうはなっていない。

 一方で、中国からの報復関税は米国の農家に確実に打撃を与えており、トランプ大統領は政治的な補填(ほてん)として250億ドル(約2兆7500億円)の補助金を支払った。

 米国内の消費者物価が上がっていないということは、関税を米国人ではなく中国企業が負担しているともいえるわけで、農家への補助金は中国企業から取ったと説明もできる。これはトランプ氏にとって政治的なアピール材料となる。

 このように、米中貿易戦争は現時点で米国にとって政治的効果があったが、米国経済に一切悪影響がなかったとはいえない。不確実性は企業心理に影響し、投資が減少した。米連邦準備制度理事会(FRB)の調査によれば、その不確実性は国内総生産(GDP)を1%程度阻害した。消費者物価が上昇傾向に転じる気配もある。となると、現時点での第1段階合意には、経済停滞を防ぐ意味もあったのだろう。

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