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【語り継ぎたい天皇の和歌】自然に励まされていた思いを詠まれる (1/2ページ)

 掲出歌は平成4年の歌会始で発表された上皇さまの御製(和歌)です。やがて花開く日を待ちながら、冬の寒さに耐えている白樺のつぼみ。日当たり良好な場所を好む白樺は、一代の寿命が70年ほどとどこか人間の一生と重なる樹木です。大正時代に武者小路実篤、志賀直哉、有島武郎、岸田劉生らが活躍した文学・美術雑誌も「白樺」でした。

 木目の美しい白樺は家具の素材としても重宝されています。世界では祝福の樹として、女神の聖樹だと語り継ぐ人たちもいます。

 そんな白樺を揺らすそよ風。冬のひだまりの明るさやあたたかさを思い起こさせるのが白樺の特性です。何かの要因で裸地になった土地にも早い段階から生えはじめるのが白樺と言われます。白樺のつぼみはやがて来る春や未来を予感させる存在なのです。まだ平成が始まったばかりの頃、上皇さまはこんな一首を詠まれ、新年に思いをいたしたのです。

 上皇さまには、他にも「取り木して土に植ゑたるやまざくら生くる冬芽の姿うれしき」という一首もあります。御所のお庭で詠まれた作品です。新緑の芽吹きの時期のみならず、あえて「冬芽」にも着目された上皇さま。「公害に耐へ来しもみの青葉茂りさやけき空にいよよのびゆく」という作品も公表されています。自然を尊び、自然に励まされていた思いがうかがえます。

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