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【編集局から】東日本大震災以降、毎年訪れる山形と仙台で感じること

 この時季、毎年必ず、山形と仙台を訪ねる。2011年3月11日に東日本大震災が起きてからである。

 大震災が起きた瞬間、山形支局にいた。本当は外に出てはいけないとされるが、発生の瞬間、庶務の女性と外に逃げ、アスファルトが波打っているのを見た。翌日からは仙台市にある東北総局に応援に入り、山形勤務はわずか8カ月にすぎなかった。

 短期間とはいえ、本社の先輩たちが山形に訪ねてきてくれた。私に対する激励というわけではなく、あくまでも私旅行。松尾芭蕉の「岩にしみいる…」で有名な山寺にお連れしたときは、とんだとばっちりを受けた。

 本来は静かな山間なのだが、なぜか、我々が到着するとステージ付きの大型トレーラーが現れ、ベンチャーズをガンガンやり始めた。わざわざ来たはずの先輩は「あれは何?」とおかんむり。「岩にしみいる…」という芭蕉が横になったという石碑にたどりついても、エレキの大音量が降り注いだ。

 前置きが長くなったけれど、人の付き合いは月日の長さでないことを感じた。大震災という共通体験だけではない何か。山形から仙台に向かう仙山線の車窓には、震災時と同じ、深い雪に包まれた、シンとした山間が広がっていた。(菊池昭光)