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【高橋洋一 日本の解き方】iPS細胞の「ストック事業」支援打ち切り検討 急激な減額は避けるべき 「弾力的仕組み」の議論が必要 (2/2ページ)

 企業側からも、ストックする種類が多すぎても問題だという意見も出ている。安全管理の観点のほか、細胞の免疫型と患者の免疫型が合致せずに免疫拒絶反応がある場合も、制御できるようになったこともある。

 こうした中、公的支援縮小の動きが役所側の水面下で起きていることに、山中氏側が反発した。役所は陰でコソコソ根回しするという姑息な方法ではなく、多くの関係者を入れてオープンに議論すべき問題だ。

 いずれにしても基礎研究の事業化が進んでいることはいい方向だ。22年度までは当然としてそれ以降の公的支援のあり方を見直すのもいいだろう。

 ただし、長期計画を台無しにするような急激な変化は避けるべきだ。特に金額の変化については可能な限り柔軟に対応する必要がある。

 公的支援の方法は、直接的な補助金交付から、出資や低利貸し付け、企業への税制支援のように間接的なものへ移行していく方が望ましい。

 京大は細胞の販売などで収益を上げるため、ストック事業を大学と切り離して法人を設立している。その法人に対する寄付金について税負担を低めるようなふるさと納税に似た制度を考慮してもいいのではないか。間接的な公的支援は、基礎研究の事業化との親和性も高く、事業化を後押しする効果がある。

 補助金を出すか出さないかというオール・オア・ナッシングではなく、事業化を推進するような弾力的な公的支援の仕組みを関係者の間でオープンに議論すれば、解決への道は開かれるだろう。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

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