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【高橋洋一 日本の解き方】iPS細胞の「ストック事業」支援打ち切り検討 急激な減額は避けるべき 「弾力的仕組み」の議論が必要 (1/2ページ)

 人工多能性幹細胞(iPS細胞)を備蓄する「ストック事業」をめぐり、国の支援の減額や打ち切りが検討されていると一時、報じられた。竹本直一IT・科学技術担当相は「2022年度まで支援を続ける」と打ち切りを否定したが、国の支援と基礎研究の事業化のあり方を考えさせられる機会となった。

 iPS細胞のストック事業について、京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥所長は、「(予算を)突然ゼロにするというのは理不尽だ」と語った。

 この事業は、再生医療に用いるiPS細胞を事前に作製して保管するもの。患者自身の細胞からiPS細胞を作るには数千万円の費用と数カ月の時間がかかるので、事前に移植用のiPS細胞を作製し、蓄えておくと再生医療に便利ということでスタートした。

 12年に山中氏がノーベル賞を受賞したので、政府は22年度までの10年間で1100億円をiPS細胞を使う再生医療研究に拠出することを決めた。ストック事業については、昨年度は13億円、これまでに計90億円以上を投じ後押ししてきた。

 いよいよ10年間の終わりも見えてきた中、ストック事業の問題点も表れてきた。当初140種類のiPS細胞をそろえて日本人の9割をカバーする目標だったが、現状は4種類で40%のカバーにとどまる。多種類の移植用iPS細胞を作るのは簡単ではない。研究をするにつれて、iPS細胞でも分化しにくい細胞とそうでないものがあることも分かってきた。

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