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【高橋洋一 日本の解き方】75歳以上の医療費負担増問題 保険原理では引き上げ必要も、細やかな配慮で議論すべきだ (1/2ページ)

 政府は、75歳以上の後期高齢者の医療機関での本人窓口負担について、現行の原則1割から2割に引き上げる方向で最終調整に入ったと報じられている。将来的には負担割合はさらに引き上げられるのだろうか。

 現在、窓口負担は70~74歳が2割、75歳以上が1割である。ただし年収約370万円以上の人は3割になっている。

 医療費の状況はどうか。厚生労働省が毎年公表し、今年は9月26日に出た「国民医療費の概況」によれば、2017年度の国民医療費は43兆710億円で、前年比2・2%増だった。

 年齢別で見ると、75歳以上は16兆1095億円と全体の37%で、1人当たりでは92万円。65歳未満は17兆1195億円と全体の40%で、1人当たり19万円。医療費は、高齢者に大きな偏りがあることが分かる。

 公的医療は、世界の先進国では保険として運営されている。保険原理から見れば、病気になる確率の高い人の保険料は高くなっても合理的だ。この意味では、病気になりがちな高齢者の医療負担が高くなるのはやむを得ないといえる。

 さらに、長寿化が進み平均年齢が高くなれば、それに応じて医療負担は高くなるしかない。現在、医療費は、5割保険料、4割公費(国と地方政府)、1割本人負担となっているが、負担は保険料、公費、本人のいずれかにならざるを得ない。

 ただし、保険原理だけでは、所得がない人は保険料を支払えなくなる。このため、そうした人の保険料を賄うために、高額所得者に累進所得税を課す必要がある。この意味では、75歳以上の後期高齢者の医療機関での本人窓口負担を増加させるとしても、低所得の人には一定の助成などの措置が必要なことはいうまでもない。いずれにしても、医療は、細心の注意をもって議論を進めるべきだろう。

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