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【昭和のことば】人間の世界を猫で表現する「パロディー写真」に添えられたツッパリの常套句 なめんなよ(昭和56年)

 犬や猫はいつの時代も人気だ。だが、何度もやってくる「猫ブーム」のはしりともいうべきなのが、「なめ猫ブーム」だ。

 子猫たちに「ツッパリ」を模した学生服を着せ、人間の姿よろしく直立させ、姿勢を直すまでの一瞬を捉えるという手法で、人間の世界を猫で表現する「パロディー写真」が売れに売れた。写真に添えられたツッパリの常套(じょうとう)句、「なめんなよ」がはやりことばとなった。暴走族や校内暴力、集団非行など、当時の社会問題を遠回しの批評でけむに巻くような、そんな一瞬のブームであった。

 この年の主な事件は、「中国残留日本人孤児47人初の正式来日」「臨時行政調査会(土光敏夫会長)発足」「神戸ポートアイランド博覧会(ポートピア)開幕」「ノーベル平和賞受賞のマザー・テレサ来日」「ポーランド自主労組『連帯』のワレサ議長来日」「東京・深川の商店街で通り魔殺人事件発生」「三和銀行茨木支店の女子行員、オンラインシステムで1億3000万円詐取」「厚生省が丸山ワクチンを治験薬に指定」「北炭夕張新炭鉱ガス突出事故、93人死亡」「福井謙一、ノーベル化学賞受賞」「沖縄本島与那覇岳で新種の鳥『ヤンバルクイナ』を発見」など。

 黒柳徹子の『窓ぎわのトットちゃん』がベストセラー。洋画は『エレファント・マン』、テレビドラマは『北の国から』が人気となった。

 時代の移り変わりによるブーム再燃を狙ってか、某通信会社CMで擬人化した猫のキャラクターが流れている。当時から「動物虐待」などとささやかれてもいたが、そこは人間と猫との相思相愛、共存共栄。安易な演出とは言わずに、いつまでもこんなブームが生まれる平和な国であってほしいと願う。(中丸謙一朗)

 〈昭和56(1981)年の流行歌〉 「ルビーの指環」(寺尾聰)「チェリーブラッサム」(松田聖子)「奥飛騨慕情」(竜鉄也)

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