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【ジュリア・ミント プーチンの国より愛を込めて】ロシア鉄道旅の一期一会 (1/2ページ)

 ドブラヴィーチェル、親愛なる日本の皆様!

 広大なロシアでは、家族や友人が離れ離れになると、会いに行くのも容易ではありません。主要な都市には空港がありますが、そうでない市や町もたくさんあります。

 ですので、空港が近くにある都市間の移動以外、人々は列車を選択し、ほとんどのロシア人が生涯に少なくとも一度は長い列車旅行をします。

 列車旅行と言えば、私も数年に一度、夏休みになると母と二人で長姉の住むヴォルガ川岸の都市、ウリヤノフスクに行っていました。それは、故郷の町に近いチェリャビンスク駅から寝台列車で行く約28時間の旅でした。

 列車がしばらく走ると、広大な景色とともにネットや携帯も通じなくなります。

 通常、人々は車中で本を読んだり、音楽を聴いたりしますが、長旅になると、単に誰かと話したい人も現れてきます。

 ある年の旅、途中の駅から一人の女性が私たちの個室に加わりました。その女性はノーメイクで疲れた感じの40歳ぐらいの人でした。

 彼女は対座し、自分で持ち込んだビールを開けながら、私たちの旅行について尋ねた後、唐突に彼女自身の物語を語り始めました。

 女性は乗車した駅に近い小さな村に住むシングルマザーで、出稼ぎ先のモスクワに戻る途中でした。村には仕事がないので、12歳の娘を近所に住む叔母に預け、モスクワの劇場で警備員をしながら、娘の将来の為に毎月仕送りをしていました。

 しかし、飲むほどに陽気でおしゃべりになっていった彼女が自分の私生活を話し始めると、次第に表情が険しくなり、声が小さくなっていきました。それは、深い谷底から這い上がろうとしても、何度も突き落とされるような人生の告白でした。

 数時間後、全てのビールが空になった頃に彼女の告白は終わり、しばらくの沈黙の後、急に元気な顔でこう叫びました。