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中国、北大教授「拘束」の狙いとは? 識者「米中の情報戦に…日本が圧力受けた可能性」

 またも邦人への人権侵害か-。9月に中国を訪問していた北海道大学の40代男性教授を拘束していたことが19日までに日中関係筋の話で分かった。男性は防衛省防衛研究所や外務省に勤務した経験があり、準公務員である国立大学の教員の拘束が認められたのは初めて。中国による不明瞭な拘束には、隠れた狙いがありそうだ。

 容疑はスパイ活動など「国家安全危害罪」に関連するとみられ、中国当局は拘束理由について「国内法に違反した」と説明している。9月に訪中した際、北京国際空港で拘束されたとの情報もある。男性教授は中国政治が専門で、これまでに日中戦争の論文などを数多く発表している。

 習近平指導部は社会統制を図るため「反スパイ法」や「国家安全法」を制定し、外国人の締め付けを強めている。17日には、中国外務省が米国人2人の拘束を説明したと米ブルームバーグが伝えたばかりだった。

 中国では不透明なままに拘束され、人権侵害が続いている。中国事情に詳しいノンフィクション作家の河添恵子氏は「情報が少なく、推察するしかない」としつつ、2つの可能性を指摘した。

 「この教授が現地で公安の仕事をしていたために拘束した可能性と、現在米中で行われている情報戦において米国の同盟国である日本が圧力を受けた可能性だ。香港を舞台にして米中は工作員を導入した“戦争”を行っており、日本も動き出しているとして、見せしめのために拘束されたと考えることもできる」

 2015年以降、邦人の拘束は男女合わせて13人確認されており、いずれも民間人。昨年3月に伊藤忠商事の社員が拘束された際には、李克強首相が日本に公式訪問を3カ月後に控えていた。来春には習主席が国賓として来日する予定で、今月は「即位礼正殿の儀」に王岐山国家副主席が出席予定だ。

 日中の関係改善に向けた動きが進んでいるという声もある中、今後の関係に影を落としそうだ。

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