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【勝負師たちの系譜】故大山康晴15世名人の心に残る言葉 「相手が攻めてくるから、それを受けているだけ」 (1/2ページ)

 故大山康晴15世名人は「受けの大山」と言われ、鉄壁の守備で数々のタイトルを手にしてきた。棋士は50代からは下り坂、50歳は落ち目となり、ランクが下がるだけの人がほとんどだ。その中にあって、59歳までタイトル保持、69歳で亡くなるまでA級に在籍した実績は、二度と出ない鉄人と言ってよいであろう。

 しかしトレードマークの鉄壁の受けも、本人から「私はちっとも受け将棋ではない。相手が無理に攻めてくるから、それを受けているだけなの」と聞いたことがある。

 以前これと同じことを、剣道の達人からも聞いた。「1ミリずつ間合いを詰めていくと、弱い方(格下)が必ず届かないところから打ち込んでくる」と。確かに詰め過ぎ(近づき過ぎ)ては、簡単に打ち込まれるが、早過ぎても体勢が崩れたところを反撃されるだけなのだろう。

 将棋も矢倉戦などでは、今仕掛けるべきか、もう一手待ち、相手が動いたところを反撃する方が良いか迷うことがある。いわゆる間合いの取り方だ。

 特に駒落ちの指導対局では、下手が焦る必要のない局面で、プロに手番を渡すと何をされるかわからないという恐怖心から、早過ぎる無理攻めで自滅することが多いが、まさに大山と指す棋士もこれと同じ心境になってしまうほど、威圧感があったのだろう。

 もう一つ感心したのは、「昔のことを言っても意味がないから」だった。

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