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【警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識】台風、地震…ダムやため池が持つ危険性 (2/2ページ)

 ダムだけではない。全国各地にあるため池も同じように大量の水が下の村を襲う可能性が大きい。1854年に起きた巨大地震、安政南海地震では、いまの香川県にあった満濃池(まんのういけ)が決壊した。高さ15メートルを超す大きなダムだった。18年の西日本豪雨でもため池の決壊が相次ぎ、3歳の女児が犠牲になるなど被害が出た。

 ため池が決壊する危険性について、この秋までに会計検査院が、自治体が行う調査方法を調べた。その結果、約4割が新設や改修の際に定められた設計指針よりずっと緩い基準で調査されていたことが分かった。

 新設するときには「200年に1度の豪雨」を想定して設計指針が定められている。だが、昔からあるため池はずっと基準が緩い。たとえば、23府県の約1万カ所の、ため池の調査結果では、約4000カ所が「50年に1度」など、より緩い基準で自治体が大丈夫だと判定していた。

 その上、会計検査院の今回の調査では調査漏れが多い。規模が小さいことを理由に耐震性が厳密に調べられなかったため池は3000カ所もある。しかも130カ所は人口集中地区にある。被害が大きくなる場所だ。

 地球温暖化で今までにない台風や大雨に襲われ始めているだけに、豪雨の被害もこれから増えるだろう。従来の「50年に1度」の基準では危ない。しかも、全国どこでも、地震に襲われる可能性がある。

 ダムは、大きな災害を引き起こすという問題を抱えている。「治水」が目的のひとつであるダムは、じつは加害者になるかもしれないのである。

 ■島村英紀(しまむら・ひでき) 武蔵野学院大学特任教授。1941年、東京都出身。東大理学部卒、東大大学院修了。北海道大教授、北大地震火山研究観測センター長、国立極地研究所所長などを歴任。著書多数。最新刊に『多発する人造地震-人間が引き起こす地震』(花伝社)。

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