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【軍事のツボ】テロ対策特殊装備展から見える東京五輪テロ対策の弱点 (1/3ページ)

 2020年東京五輪・パラリンピック(以下、東京大会)まで残り約7カ月となった。大規模な「お祭り」だけに楽しさ同様、「いざ」に対する備えは絶対に欠かせない。10月2~4日に東京・青海で開かれた国内唯一のテロ専門展「テロ対策特殊装備展」は東京大会を強く意識していたが、その内容を詳しく見ていくと、東京大会のテロ対策の弱点も浮かび上がる。それはわが国のテロ対策全般が抱える問題にも繋がっている。

 同展は、警察、消防、自衛隊、自治体、専門業者などを対象にした参加者限定の展示会。昨年の同展も東京大会を意識した内容が多かったが、今回はさらに増えた。

 東京大会に関連する展示としては、空港や会場などでの出入り管理として顔認証、爆発物・毒物の検知、空中無人機(ドローン)を使った警戒・監視などがあった。

 テロをどう防ぐかについて、直接的には(1)国内に入れない(2)対象場所に近づけない(3)実行する隙を与えない--といったことが柱になる。わが国でテロを起こすには多くの場合、テロリストは空路で入国し、電車や車、徒歩などで対象場所に近づく。そのため、前述の東京大会に関連する展示は、わが国でのテロ防止策に直結すると言っていい。

 しかし見逃してはならないのは、日本が海に囲まれていること。陸続きに比べて侵入が容易でない一方、備える側の油断にも繋がりやすい。加えて侵入側に意志とある程度の能力があれば、海はそれほど高いハードルではなくなる。現実のテロ事件を元にした映画「ホテル・ムンバイ」(9月27日から公開)に象徴的なシーンがある。

 この映画は、2008年にインド最大の都市ムンバイで起きた、イスラム過激派による高級ホテル「タージマハル・ホテル」(人質500人以上)などを狙った同時多発テロ事件を元にしている。

 冒頭で、テロリストはパキスタンから海上を小型ボートでムンバイの街に侵入する。海上に警備はなく、ボートから岸に上がっても、リュックを背負った普通の若者の格好をした実行犯を誰も不審がらない。

 この映画はイスラム過激派に占拠されたホテルに閉じ込められた人質や実行犯らの心理状態を見事に描き出している優れた作品だ。一つ挙げると、実行犯と指示役の関係性。実行犯は犯行の最中も指示役と携帯電話で始終連絡を取るなかで、実行犯が犯行をためらったとき、指示役が実行犯に「アラー・アクバル(アラーは偉大なり)」などと何度も叫ばせる。

 これは「スローガン」を口にすることで、自分たちの「よりどころ」以外を思考から排除する効果を狙っていると考えられる。「オウム真理教が『修行するぞ』と繰り返させていたことなどもこれに通じる」(軍事評論家)し、会社の朝礼で社訓や目標を声に出すなど、実は一般社会でも同様ではないか。

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