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【東アジアの動乱と日本の針路】「世界最強の覇権国家」目指す中国 米の制裁で追い込まれ再び統制経済の道へ…独裁体制にひびも? (2/2ページ)

 それどころか、ドル不足に苦しむ中国は、通貨規制をさらに強化した。国際的約束を無視し、帝国主義的な拡張を進めるのが中国の実態である。

 オバマ政権までの米国は、中国に甘い対応をとり続けてきた。だが、トランプ政権は中国の実態を正しく把握し、「中国こそ、米国を脅かす第一の脅威」との認識のもとに、本格的な中国締め上げ戦略を開始した。

 中国の軍拡主義を支えていたのは経済成長である。その経済成長には、外国の資本や技術を借用してきた。突き詰めれば、中国がドルを防ぐ力を奪ってしまえば、その国力は低下する。トランプ政権が実行しているのは、まさにこれである。

 米国による中国通信機器大手「華為技術(ファーウェイ)」排除で明らかになったが、米国はハイテクのサプライチェーンから中国を排除する方向だ。もし、中国製造2025が実現すれば、それは世界の産業覇権を中国に奪われることであり、米国は絶対に許すことができないのだ。

 米国の経済制裁で追い込まれた中国は、再び統制経済の道を歩み始めた。共産党官僚による民間企業への干渉や支配がどんどん強まっている。官僚を「政務事務代表」として重点民営企業に常駐させるという。要するに、共産党が民営企業の財産乗っ取りを始めたのだ。

 米国は今、インド太平洋戦略で中国を封じ込めようとしている。具体的には、米国と日本、オーストラリア、インドの4カ国による安全保障上の協力体制(セキュリティー・ダイヤモンド)で、中国の拡張主義を押さえ込もうとしている。

 共産党が統制を強化すれば、それは「社会主義への逆戻り」であり、中国の経済成長は頭打ちとなるだろう。そうなれば、共産党独裁体制にひびが入る可能性が出てくる。

 ■藤井厳喜(ふじい・げんき) 国際政治学者。1952年、東京都生まれ。早大政経学部卒業後、米ハーバード大学大学院で政治学博士課程を修了。ハーバード大学国際問題研究所・日米関係プログラム研究員などを経て帰国。テレビやラジオで活躍する一方、銀行や証券会社の顧問などを務める。著書・共著に『国境ある経済の復活』(徳間書店)、『米中「冷戦」から「熱戦」』(ワック)など多数。

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