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【昭和のことば】社会構造の変化など…その存続に対する議論も 緑のおばさん(昭和35年)

 いろいろな意味で消えたことばである。交通事故から子供たちを守るため、登下校時に緑のユニホームを着用し、黄色い旗を手に交通整理をした女性たちを指した。

 正式には学童擁護員という。主に女性が雇用されていたのは、まだ女性の職場が少なかった時代、寡婦に対する雇用として創設されたからである。東京都の臨時職員としてスタートし、次第に各地に広まっていった。

 少子高齢化、女性の職場の拡大、賃金確保の問題など、社会構造の変化に伴い、現在、その存続に対する議論がなされている。

 この年の主な事件は、「民主社会党結成(委員長・西尾末広)」「ソニー、世界最初のトランジスター・テレビ発売(8インチ、6万9800円)」「安保改定阻止。全学連反主流派、国会突入をはかり警官隊と衝突、東大生の樺美智子さんが死亡」「岸信介首相辞意を表明。第1次池田勇人内閣成立」「自民党、高度成長・所得倍増などの新政策発表」「NHKほか民放4社、カラーテレビ本放送開始」「浅沼稲次郎社会党委員長、東京・日比谷の演説会で、右翼少年に刺殺される」など。

 この年の映画は『おとうと』『悪い奴ほどよく眠る』。本は倉橋由美子の『パルタイ』、松本清張『ゼロの焦点』など。ダッコちゃんブームが最高潮。日清食品「チキンラーメン」が発売、インスタント食品時代の幕開けを迎えた。

 学童を保護する人々のあり方は変化したが、現在でもさまざまなかたちで行われている。「おばさん」という性別や年令が限定されるような愛称は今の風潮にそぐわない。本当の意味での子供に優しい社会。半世紀以上の時を経て、ことばだけではなくさまざまな問題が改良された子供たちの登下校風景であってほしいと願う。=敬称略(中丸謙一朗)

 〈昭和35(1960)年の流行歌〉 「アカシアの雨がやむとき」(西田佐知子)「霧笛が俺を呼んでいる」(赤木圭一郎)「誰よりも君を愛す」(松尾和子&和田弘とマヒナスターズ)

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