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【高橋洋一 日本の解き方】香港と「一国二制度」の本質 中国本土政府の意向を反映、「政治の不自由」が経済侵食 (1/2ページ)

 香港政府はいわゆる「逃亡犯条例改正案」の撤回を正式発表した。中国と香港の関係は今後どうなるのか。

 本コラムでは、今月11、12日に香港で開催される「一帯一路サミット」で、香港の治安維持が最大の課題になると指摘してきた。一帯一路は中国本土政府の金看板政策であるので、空港などが閉鎖されたら、中国政府と香港当局はみっともない姿をさらすことになる。

 10月1日には国慶節を控えているので、今のタイミングで撤回を正式発表したのだろう。もっとも、これまでも香港政府は「条例案は死んだ」と言ってきたので、反対派にはいまさら感もあるのではないか。

 ここにきて、国際社会からの批判も強まっている。特に先進7カ国首脳会議(G7サミット)は強烈だった。G7が中国と香港の関係を大いに懸念しているとして、総括文書では1984年の英中共同宣言に言及している。その宣言は、香港において「一国二制度」を50年間続けるとの趣旨だ。

 もちろん中国政府はG7を批判し、英中共同宣言は歴史文書であり、現在では意味がないとしている。中国はすでに英中共同宣言を無視している。

 一国二制度は全て、中国中央政府から与えられたものというのが、中国政府の公式見解である。こうした内容は、香港返還から10年後あたりから中国で言い始められ、2014年の中国政府の公式文書でも明文化された。

 例えば、香港の裁判所でも、一部の法の解釈については解釈権を有せず、全国人民代表大会(全人代)常務委員会に解釈を求める必要がある。全人代や憲法の上に、中国共産党が存在するので、民主主義先進国の統治機構とはかなり異なっていることに留意しなければならない。

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