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【警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識】皆既日食は太陽コロナ観測の絶好機 光の波長測定しフレア予測へ (1/2ページ)

 7月17日に世界の広い範囲で月食が見られたが、その半月前の7月2日に、南太平洋、チリ、アルゼンチンなどで皆既日食が見られた。

 月の軌道はわずかに動くが、このところ太陽と月と地球がたまたま一直線に並ぶ日が続くからだ。地球の影に月が入るのが月食、逆に月の影が地球上を通るのが日食になる。

 この日食を手ぐすねひいて待っていた科学者たちがいた。この日食は、アメリカ国立光学天文台が南米チリの標高2200メートルの高さに設置したセロ・トロロ汎米天文台をちょうど通った。高山だと空気による散乱が少なく、日食をはじめ天体をよく観測できる。

 科学者の主な目的は、太陽のまわりにあるコロナの観測だった。コロナは荷電粒子のかたまりが噴出するもので、ときには太陽の数倍から数十倍まで広がる。太陽から吹き出すフレアを作る。

 太陽の大気層の外縁で最も高温な領域だが、太陽本体に比べて100万分の1の微弱な明るさしかない。それゆえ日食のときにしか見えない。

 このフレアが地球に達すると磁気嵐になる。かつて大規模なフレアが出て、1989年にはカナダで大規模な停電が起きたほか、2003年には日本の人工衛星が故障したこともある。大規模なものが起きたら広い範囲で停電が起きたり、GPSなどの衛星の機能を損ねかねない。大地震なみの大混乱になるだろう。

 ところが、このフレアを予測して警告する方法はない。日食のときに太陽が放出するいろいろな光の波長を測定して、フレアの予想を確実なものにしたいというのが科学者の狙いだった。しかも今年は11年周期である太陽の活動が最小限に近いので、17年に起きた日食のときに見られたのとは別の機会だった。

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