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【高橋洋一 日本の解き方】「マクロ経済スライド廃止」でも年金が増額するわけではない 一部野党の参院選公約、保険料率引き上げに逆戻りへ (1/2ページ)

 年金のマクロ経済スライドをめぐり、共産党や社民党は廃止や中止を参院選の公約で掲げている。「年金を減らす仕組み」という指摘もあるが、どのようなものなのか。

 あらためて確認しておきたいのは、年金は保険であるということだ。極端に単純化すれば、平均的な人で20歳から70歳まで保険料を払って、70歳から90歳まで年金を受け取るようなものだ。

 年金給付水準の所得代替率(年金額と現役時代の給与との比率)を50%とすれば、平均的な70歳から90歳までの20年間で受け取る年金は所得の10倍になる。簡単な数学であるが、20歳から70歳までの50年間の保険料率は20%になる。70歳で死ねば年金が受けられないが、90歳まで生きれば所得の10倍、100歳まで長生きすれば所得の15倍の年金を受け取れる。

 要するに、年金は早く死ぬ人から長生きの人への資金移転という極めてシンプルな仕組みで、支払う保険料と年金給付水準(所得代替率)には密接な関係がある。

 2004年の改正以前は、大ざっぱにいえば年金給付水準を先に決め、それに応じた保険料率を示していた。この仕組みでは、現在の賦課方式のもと、少子化と平均寿命の伸びがあるので、基本的には保険料率の引き上げという形で調整が行われてきた。

 04年改正は、保険料率の上限とそれに至るまでの毎年の保険料率を先に決め、それに応じた年金給付水準を示すこととした。この仕組みでは、少子化と平均寿命の伸びは年金給付水準の減少で調整される。この調整方式を、マクロ経済スライドという。

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