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【昭和のことば】「危うさ」こそがおもしろさだった… 男は黙ってサッポロビール(昭和45年)

 流行語の範囲は広い。受賞するような流行語ではないけれど、いまだにわたしたちの心の奥底に引っかかっているようなビンテージ感のある「古語(死語)」もある。「男は黙ってサッポロビール」は、そんなことばだ。CMには超大物俳優、三船敏郎が起用され、当時のユーザーの中心であったお父さんたちをおおいによろこばせた。

 この年の主な事件は、「第3次佐藤栄作内閣成立」「厚生省、LSDを麻薬に指定」「日本万国博覧会EXPO’70、77カ国参加で大阪・千里丘陵で開催」「赤軍派学生9人、羽田発福岡行き日航機『よど号』をハイジャック。北朝鮮の平壌へ」「東京・銀座などで、自動車を締め出す『歩行者天国』がスタート」「たばこなどの自動販売機が100万台突破」「政府、初の『防衛白書』発表」「東京・渋谷で日本初のウーマンリブ大会開催」「作家の三島由紀夫『楯の会』会員4人と東京・市ケ谷の陸上自衛隊東部方面総監部に乱入、三島と会員1人が割腹自殺」「沖縄コザ市で、米軍MPの交通事故処理に市民が反発。MPの威嚇発砲に群衆の反米行動拡大(コザ暴動)」など。

 この年の映画は『戦争と人間』『イージーライダー』。本は藤原弘達『創価学会を斬る』、塩月弥栄子『冠婚葬祭入門』。テレビでは『ありがとう』『細うで繁盛記』などが流行。東京都内では、光化学スモッグ公害が頻発した。

 「男権・父権」的な表現が、今はもちろん、当時としても危うい。だが、その「危うさ」こそが、このことばのおもしろさだった。高度経済成長期真っただ中のCM、三船をまねた苦みばしった顔で、あえて男権なんぞに浸ってみる(心のなかで)。それもまた、昭和がまた一歩遠のこうとしている現在の一興である。(中丸謙一朗)

 〈昭和45(1970)年の流行歌〉 「黒ネコのタンゴ」(皆川おさむ)「圭子の夢は夜ひらく」(藤圭子)「走れコータロー」(ソルティー・シュガー)

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