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【昭和のことば】鈴木健二氏の面目躍如、思わぬ批判も 「私に1分間時間をください」(昭和59年)

 昭和57(1982)年に「気くばり」をはやらせたNHKアナウンサーの鈴木健二氏が、またまたやってくれた。これは、昭和59(84)年の紅白歌合戦で引退を決めていた都はるみさんにアンコールを求めた際に発せられたセリフである。舞台上でかたくなにアンコールを拒否する都はるみさんを、今から1分間で交渉してみると観客に宣言したのである。

 台本による予定調和的な進行を嫌っていた鈴木氏の面目躍如といったところだが、のちに計画的なものなのではないか、進行役の立場を逸脱しているのではと、思わぬ批判にもさらされた。

 この年の主な事件は、「三池有明炭鉱火災、死者83人」「『週刊文春』“疑惑の銃弾”報道開始。三浦和義、報道を人権侵害として法務局に申し立て。翌年逮捕」「植村直己、北米大陸最高峰マッキンリー冬季単独登頂成功し、下山途中に消息不明」「報徳会宇都宮病院で看護人による患者2人リンチ致死事件発覚」「グリコ事件発生」「東京高裁、ロッキード事件の小佐野賢治、議院証言法違反で有罪判決」「ロサンゼルス五輪開催」「『投資ジャーナル』グループ摘発で、強制捜査」「全斗煥韓国大統領来日」「オーストラリアからコアラ6匹、成田到着」「新札発行(1万円、5000円、1000円)」「第3次中曽根康弘改造内閣発足」など。

 この年の映画は『お葬式』『麻雀放浪記』。岡本綾子が米ゴルフツアーJ&Bで優勝。浅田彰の『構造と力』が流行し、巷では酎ハイブームが起こった。

 紅白で生まれたこの言葉はものすごいインパクトを生み、新年を迎えるとまたたく間に流行語となった。先生に指された子供たちの悪ふざけなど、各方面でおもしろおかしく使われた。(中丸謙一朗)

 〈昭和59(1984)年の流行歌〉 「ワインレッドの心」(安全地帯)「ジュリアに傷心」(チェッカーズ)「娘よ」(芦屋雁之助)

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