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【大前研一 大前研一のニュース時評】米朝首脳会談、合意見送り…開催した意味は? 部下の言うこと聞かぬ“ヘボ役者”トランプ氏と正恩氏 (1/3ページ)

 ベトナムの首都ハノイで開催された米国のドナルド・トランプ大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の2回目の首脳会談は、当初予定された共同合意文書への署名が見送られた。

 トランプ大統領は「北朝鮮は寧辺の核施設廃棄の見返りに経済制裁の全面解除を求めてきた」と明かしたうえで、寧辺のほかにも北朝鮮が公表していない平壌近郊カンソンの核関連施設の査察や廃棄を求めたところ、金委員長が難色を示したため「立ち去ることを決めた」と語っている。一方、北朝鮮の李容浩(リ・ヨンホ)外相は「われわれが求めるのは全面的な制裁解除ではなく一部解除」と主張している。

 今回はっきりしたのは、金委員長が事前に実務交渉した部下の言うことを聞かないということ。両国のスタッフ同士でいろいろな条件を交換していたと思うが、それを無視して「トランプ大統領との関係が良好な自分が出ていけば、制裁解除は勝ち取れるはず」と甘く考えていた。つまり、細かい交渉ができる緻密な思考回路を持った人間ではないことが露呈したわけだ。

 同じように、こうした能力に欠けているトランプ大統領も、部下がいろいろ細かく交渉しても、そのリポートさえ読まない。結局、そういう人間がお互いに判断を誤り、ハノイから帰るときのカッコいいシーンだけを想定していたのだ。

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