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韓国「慰安婦涙の“感謝”映像」はなぜ封印されたのか (1/4ページ)

 3・1独立運動記念日を控えて高まる反日気運の中、やはり問題は蒸し返された。徴用工裁判、レーダー照射で日韓関係がこじれたこの時に、韓国が持ち出してきたのは、またしても「慰安婦問題」という切り札だった。韓国の文喜相国会議長は「慰安婦問題の解決には天皇の謝罪が必要」と発言、日本政府の撤回要求にも「盗っ人猛々しい」とまで言い放ち、日韓両国を燃え上がらせている。だが、そもそもその要求は、当事者の気持ちを代弁しているのだろうか。元慰安婦たちの本心が記録された「秘蔵映像」からは、全く異なる真実が見えてきた。赤石晋一郎氏(ジャーナリスト)がレポートする。

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 ◆「総理からの手紙」に嗚咽

 数奇な運命を辿ったDVDがある。

 『ふりかえれば、未来が見える ~問いかける元「慰安婦」たち~』と題されたドキュメンタリーが収録されたものだ。実はこの映像は、1998年の制作以来、20年あまりの間、公開されることなく封印されてきた。日韓関係の狭間で埋もれていたこの作品を、私はある関係者から独自に入手した。

 映像は1997年1月、ソウル・プラザホテルで行なわれたセレモニーの様子から始まる。〈7人の元「慰安婦」の方にお詫びと償いが届けられた〉と日本語のテロップが入り、チマチョゴリの正装で集まった元慰安婦らに対して橋本龍太郎・首相(当時)の署名入りの手紙が読み上げられた。

 〈私は、日本国の内閣総理大臣として改めて、いわゆる従軍慰安婦として数多の苦痛を経験され、心身にわたり癒やし難い傷を負われたすべての方々に対し、心からおわびと反省の気持ちを申し上げます〉(映像より)

 沈痛な面持ちで手紙の朗読を聞いていた元慰安婦の一人はハンカチで顔を覆って激しく嗚咽した--。

 いま、慰安婦問題を巡って再び日韓が“衝突”している。火をつけたのは国会議長の「天皇謝罪要求」だが、これには伏線があった。

 契機となったのが1月30日付の米紙ニューヨークタイムスの記事だった。同紙ソウル支局長チェ・サンフン氏が、元慰安婦である金福童さん(享年92)の死亡記事で「(日本政府は元慰安婦の)女性への正式謝罪や補償を拒絶し続けてきた」などと書いたのだ。日本外務省はこれに即座に反応し、大菅岳史・報道官は「日本政府は数多くの機会において元慰安婦に対する誠実な謝罪と悔恨の念を伝えてきた」との反論を公表した。議長が米メディアで発言したのはこの直後だった。

 日本政府は正式謝罪や補償を拒絶し続けてきた--それが“嘘”であることを証明しているのが、冒頭に紹介した秘蔵映像だ。橋本首相の手紙の言葉を、元慰安婦たちが真剣な表情で聞き入るシーンは印象的だ。

 当時、日本は1995年に設立された「アジア女性基金」を通じ、慰安婦問題の解決を目指していた。償い金の支給や、首相の手紙を元慰安婦に渡す活動に取り組んできたのだ。しかし、韓国世論は冷淡だった。

NEWSポストセブン

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