記事詳細

【昭和のことば】完全な悪だとは言い切れない… 灰色高官(昭和51年)

 グレーのスーツやグレーヘア。グレーという色は落ち着いた感じのいい色だと思う。日本語では「ねずみ色」「灰色」。黒と白の中間。若干、善と悪が混ざり合ううさん臭いイメージになる。

 灰色高官とは、この年話題になったロッキード事件で、完全な悪だとは言い切れない政府高官の「状況」を表したことばだ。ロッキード社から金銭を受け取っていても起訴に持ち込めない。受託収賄が立証できず、単純収賄では時効が成立している。極悪ではないが善人でもない。政府の偉い人は多かれ少なかれこんな人。多くの子供たちが抱いたイメージである。

 この年の主な事件は、「鹿児島市で五つ子誕生」「ロッキード事件」「映画俳優が小型飛行機で児玉誉士夫宅に突入し死亡」「『四畳半襖の下張』がワイセツ文書で有罪判決(野坂昭如)」「三木降ろし表面化、党内抗争に発展」「核拡散防止条約、参議院本会議で批准承認を可決」「新自由クラブ結成」「東京地検、田中角栄前首相逮捕」「ソ連のミグ25戦闘機(操縦士ベレンコ中尉)、函館空港に強行着陸」「鬼頭史郎京都地裁判事補・ニセ電話事件が表面化」「山形県酒田市で大火」「福田赳夫内閣成立」など。

 スポーツでは、第21回モントリオール五輪に参加。具志堅用高が、WBAジュニアフライ級世界王座を獲得した。

 目的遂行の大きな流れのなかに生まれる悪事。そんなものには目をつぶれとうそぶいていた時代が、法による徹底追求の時代となり、また昨今の扇動された世論による大バッシング大会の時代へと変化している。

 白か黒か。曖昧さを完全になくすことは不可能だ。人は「灰色」のトラウマに追い立てられているかのようである。(中丸謙一朗)

 〈昭和51(1976)年の流行歌〉

 「およげ!たいやきくん」(子門真人)

 「北の宿から」(都はるみ)

 「ペッパー警部」(ピンクレディー)

関連ニュース