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金正恩氏、55年ぶりにベトナム入り

 【ドンダン(ベトナム北部)=藤本欣也】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長を乗せた特別列車は26日午前、中国広西チワン族自治区から中越国境を越えてベトナム入りし、ドンダン駅に到着した。27、28日に首都ハノイで行われるトランプ米大統領との2度目の首脳会談に臨む。北朝鮮最高指導者のベトナム訪問は、金正恩氏の祖父、故金日成(イルソン)主席(当時は首相)が1964年に訪問して以来、約55年ぶり。

 金正恩氏は午前8時20分(日本時間同10時20分)すぎ、駅ホームに据え付けられた特製タラップからドンダン駅に降り立った。ベトナム側は小雨の中、音楽隊が同国の国歌を吹奏するなど歓迎式を挙行。数百人の子供やアオザイ姿の女性らが両国の小旗を振って金氏を歓迎した。金氏は儀仗(ぎじょう)兵たちの前の赤いカーペットの上を歩いて駅正面で専用車に乗車した。この後、専用車の窓を開けて笑顔で人々に手を振り、警察車両の先導でハノイ方面に向かった。

 ベトナム側はこの日、早朝からドンダン・ハノイ間約170キロの国道を一部通行止めにするなど、徹底した警戒態勢を敷いた。

 ドンダンでも軍兵士や警官が駅周辺や国道沿いに多数配置され、駅や国道への立ち入りが禁止されるなど住民生活にも影響が出た。駅付近の建物の上には兵士が2人ずつ配置された。

 しかし、地元は一様に歓迎ムード。ドンダン駅近くで食堂を経営する女性(31)は「こんな田舎に外国の指導者がやって来るなんて信じられない。ベトナムの国家的行事がこの村でも行われるのがうれしい」と話す。

 日本や韓国などのメディアの関係者も100人以上が人口約7500人のドンダン村に押し寄せた。

 40代の男性は「村にとって宣伝効果は絶大だ。金正恩氏が来なければ世界の人がドンダンを知ることもなかっただろう」。

 駅周辺では25日から屋台の営業も禁止されたが、前日まで卵や果物を売っていた女性(26)は「迷惑とは思っていない」と楽しんでいる様子だった。(産経新聞)