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【昭和のことば】哀愁とかすかな高揚感… サッポロ+チョンガーの造語「サッチョン族」(昭和34年)

 これはもはや若い人には通じなくなりつつある話である。

 北海道と沖縄は、その歴史的経緯から開発が本土よりも遅れ、担当官庁を整えながら、少しずつその発展を推し進めてきた。特に顕著だったのが、この頃の北海道である。大企業が北海道の中心地・札幌へと次々と進出し、多くの単身赴任サラリーマンや若手独身サラリーマンたちがこぞって札幌へと招集された。

 これが「サッポロ」+「チョンガー(独身者を表す俗語)」の造語「サッチョン族」である。北の果てにひとり赴任している哀愁とかすかなる高揚感。そんなものを感じさせることばだった。

 この年の主な事件は「第三次南極観測隊、昭和基地に置き去りにされた樺太犬『タロ・ジロ』の生存を確認」「東京・千鳥ヶ淵戦没者墓苑完成」「皇太子ご成婚、ミッチー・ブーム頂点に」「国民年金法公布」「ミス・ユニバースに日本代表・児島明子が決定」「日産自動車、ダットサン・ブルーバード発売」「台風15号、中部地方を襲う。死者5041人、被害家屋57万戸(伊勢湾台風)」「水俣病問題で漁民1500人、新日本窒素水俣工場に乱入、警官隊と衝突」「学童の交通整理に緑のおばさん登場」など。

 この年の映画は『荷車の歌』『野火』。本は『にあんちゃん』(安本未子)、『海辺の光景』(安岡章太郎)など。テレビでは『スター千一夜』『ローハイド』が流行。街では爆音でオートバイを疾走させるカミナリ族が横行した。

 夜のネオン街。おいしい料理に温かく出迎えてくれるママさんたち。サッチョン族当時の名残か、いまでも札幌は単身者にやさしい。辞令には従うしかないサラリーマンの悲哀を憂う一方で、九州の雄・博多と並び、一度単身で赴任したら帰ってきたくなる街だとも言われている。(中丸謙一朗)

 〈昭和34(1959)年の流行歌〉 「南国土佐を後にして」(ペギー葉山)「黒い花びら」(水原弘)「黄色いさくらんぼ」(スリー・キャッツ)

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